昨日イタリア人のマウリッツォって言うタイル屋さんが親子で来て、キッチンの床と壁のタイルを張り替えてくれた。
たった2日なんだけれどもその間にいろんなことがあったから、まるで何週間もやってたような気がする。
ステキな見積りはドタキャンされるの、ほとんど運命
これまで人生で一回もタイルなんて選んだこともないし、タイル張りを頼んだこともないので、一体何から手をつけていいのかさっぱりわからず、2日だけの期間でオンライン(fiver 日本でいうクラウドワークスみたいなの)のデザイナーを発注した。
海を越えたパキスタンのインテリアデザイナーと、主に壁タイル選びに関して、ああでもないこうでもないとほとんど48時間、寝ずに英語をチャットで書きなぐって、夜中の3時までメッセージのやりとりをしていた。
それにタイル職人に何人も、見積りとった、もう6人とか?
最初のタイル専門の人は小さなキッチンなのに「工賃だけ」で10万円!
「タイル張りコスト」
でググったら相場よりはるかに高い。
その後2人見積りとったら、1人が安く感じも良いのでその人にお願いしたのに、前日ドタキャン。
面倒になったのか?
ドタキャンした人はテレンスさんと言い、テレンスの見積もりだと、床と壁両方タイル張りお願いしても、最初の人の「床だけ」見積もりよりも安かったので、壁もやることになっていた。
他はテレンスより皆かなり高かったので、
「テレンスさん、やってくれないかしら」
とグチグチ言ってたら、
夫は
「テレンスはもう忘れよう。彼は歴史の一コマだよ」
とか言ってた。
(ステキな見積り後、ドタキャンされるのほとんど運命)
そこでオンラインで家の修繕業者登録サイト、イギリスはいくつもあるけど、そのうちお気に入りのって言うか、他はメッセージに誰もが無反応で役立たずなので、反応の唯一ある”Mybuiler.com” から2人さらに見積とった。
その1人がマウリッツォで、予算上バスルームと暖炉のタイルを諦め(DIYにして)キッチン(壁+床)だけお願いすることになった。
タイル注文はギリギリ
タイルサンプルをオンライン注文するも、最初私のクレジットカードが日本の住所のままでエラー続きで、全然オンライン注文できず、諦めかけた。
たまたま他の用事で現住所をイギリスにしたら、日本のクレジットカードが使えるようになった。それでタイルのサンプルを注文しまくって、どこから届いたタイルかもわからなくなるくらい家にサンプルがいっぱいになった。
でもそれで終わったわけじゃなく、サンプルは安いんだけど実際のタイルは送料が高くて、その総額を確認するのも、自分の住所とか名前、電話番号など全部の情入力して初めて送料がわかることがほとんど。
さらにタイルがいつ届くか、在庫があるのかどうかとか、パキスタンのインテリアデザイナーと一緒に選んだタイルを注文するまで、受け取り期日、取りに行く方法、メッセージなどなど、タイルが届くまで英語で、何もかも初めてだから難しい。
キッチンの壁タイルなんか電話で在庫あるって聞いて注文したのに施工前日確認したらないと変わり、その後何度も電話かかってきてギリギリ間に合ったけど、最後まで安心できなかった。
意味が通じてるのかどうか?
マウリッツォさんは南イタリアの出身で、10年以上アメリカのニューヨークでタイル職人をやってたらしい。
なのにマウリッツォさん親子は英語がほとんど話せないというか話せるけど、なまりが強すぎて何言ってるかわからない。
昔はスペイン人やイタリア人の英語は日本語に母音似てすごく分かりやすいと思ったのに、今ではイタリア人のタイル職人の英語がほとんどわからなく、ネイティブの英語の方が人にもよるけどわかりやすい。
スマホのメッセージもなんだか子供の文章みたいで、言葉が5個ぐらい並んでいるだけでよくわかんない。
父親の方は背が高くなくて、イタリア語混じりで陽気にジェスチャー付きでまくしたて、いかにも南イタリア人って感じの人だ。
息子のほうはほとんどしゃべらず、背が割と高くて金髪、イギリス人っぽい。
だから、イギリス英語がしゃべれるのかと思って、親の英語がわからない時にさりげなくちょっと説明してもらえませんかって言ったら、この人、英語がお父さん以上に話せない。
私はスペイン語が少しわかるので、またイタリア語スペイン語は結構似てるので、ついスペイン語で返したりしてたら
「スペイン人ですか」
「ええっ?違います!」
タイルトリムで一悶着
そういうわけで、コミニケーションが結構ハードル高くて、意味が通じてるのかどうか不明というか、実際通じてないことがあった。
それはタイルトリム(タイルの周りに貼る縁カバー)の事で、日本ではあまり使ってるの見ないけど、イギリスでは壁のタイルにみんな使う。
タイルと壁の間に押し込むようにして挟んで固定するのがプロのタイル屋さんが使うやつみたいで、意外と高額だし、使うのにも技術がいるらしい。
調べたら、縁にあれば壁とタイルの隙間から水とか入りにくいので、タイルを長持ちさせるらしい。
もともとわが家のキッチンのタイルのトリムは白だったんだけど、この人たちが当日持ってきたのがシルバーだった。
わが家のお風呂にシルバーのタイルトリムが使ってあって、それがすごく嫌いだったので、
「白にしたい」
って言ったら、
「25ポンド(4500円位)をしたのに」
と3回ぐらい文句を言われた。
「白いトリムはないので、今日はできないから明日戻ってくる」
と言って1日目はフロアータイルだけやって帰った。
「もとのタイルを剥がす前使われていた、キッチンのタイルのトリムとおんなじでいいんですよ」
って言って、そのトリムもマウリッツォは朝見て自分で剥がしたのでわかってると思った。
親子が夕方に帰ってから、もしかしてコミュニケーション不足してたんじゃないかと心配になった。
でも探しても今のキッチンのタイルトリムは外されて、ゴミ箱のどっかに入っている状態だったので、昔撮った写真でわかるやつを一生懸命探した。
それでこの人のメールアドレスを知らないので、一か八かでテキスト(ショートメール)に上の写真と、メッセージに
「これです」って書いて送った。
そしたら相手もiPhoneだったみたいでちゃんと送れてた。
でも翌朝起きたら
「メッセージ見てないんじゃないの」
と心配になって電話をした。すると
「今見た。写真のやつは自分の考えたのと違うから、また改めて買いに行くので遅くなります」
と言っててちょっと怒ってるみたいだった。
なのでタイルトリムを決めるだけでも、もう一悶着、と言うわけだった。
バスルームで包丁使って朝ごはん
タイル張り、お父さんのマウリッツォがほとんどやって、息子は手伝いっていう感じに見えた。
でも、とにかくお父さんのマウリッツォすごい技術で、壁の半分くらい占めるタイルを剥がすのはわずか30分、床タイル張りはほんの1時間位で終わった。
「ペンキ屋さんが食堂の壁紙剥がすのに、1週間かかってたよね」
と思い出して、ペラペラの壁紙剥がす方が、セメントで固めた厚いタイル剥がすよりよほど時間かかるのは、全く予想外だった。
でも冷蔵庫を裏庭に出されちゃって、まぁ一旦外に出すのはしょうがないんだけど、
「冷蔵庫。このまま外に出したまま帰りますけどいいですか?」
って聞かれ、
「ええー!」
となって夫に聞いたら
「夜外に冷蔵庫を出したままは困るだろう」
と言うことで、食堂に移動してもらった。
イギリスは日本やイタリアの天気と違い、今が晴れてても一時間ごと雨が降ったり晴れたりするのだ。
でもこれまでの家の工事の人は全然断りもなくいろいろ決め、とんでもない状況のまま勝手に帰宅されことを思えば、冷蔵庫の件で断りを入れただけでもマシだったけど。
(ペンキ屋は「金曜日だから早めに帰ります」と私たちが外出したときメッセージを事後に送ってきて、うちのドア開け放しで帰ってしまった。)
外に冷蔵庫出されて冷凍品が解凍されちゃったのかなと思ったら、窓から延長コードを庭に出して、庭に冷蔵庫を電気でつないでたので中は冷たいままだった。
でも、冷蔵庫横にして移動したらしく、ラップをかけていた飲食物が半分出てしまって、冷蔵庫の中がクリームでベタベタになった。
さらに卵が壊れたので、夜食としてやむなく卵焼きを食べた。
それとちょっと想定外だったんだけどマウリッツォ親子は、タイルをセメントっぽい何か接着剤みたいなので半分固定して動かされたくなかったからだと思うけど
「明日までキッチン使えないから」
「絶対に入らないでください」
とか言って、施工道具のバケツと踏み台を入り口に置き、キッチンに入れないようにして帰った。
タイルを張り変えるだけなのに、キッチンが2日間使えなくなった。
といってもこのマウリッツォ親子がいない隙にちょこちょこ使ってた。
食器を取りに行ったり、裏の戸口の鍵を開けたり閉めたり、食べ物の箱を取りに行ったりしてたんだけど、タイルスペーサーと言って、タイル間の幅を一定にする何かピンのようなものがタイル角のところにいちいち、全部のタイルにとめてある。
そのタイルスペーサーを踏まないようにして歩くのが、何しろスペーサー間はタイル一辺の25センチ位しかないので、足の小さい私でもちょっと苦労で、ほとんど歩けない感じだった。
(「エントラップメント」というかなり昔の映画で、女怪盗役のキャサリン・ゼダ・ジョーンズが、セキュリティ装置の赤外線を避けてつま先で歩いてたの思い出した)
まぁ、そんなこんなでキッチン使えなかったので、最初は隣の食堂に、電子ケトルとか電子レンジとか、トースターを移動して使ってた。
だけど、食堂やキッチンは1階で、イギリスはバスルームが2階にあるのが普通なので、何しろ1階では洗うも何もできないので、結局水が使えるバスルームに何もかも移動した。
家のバスルームは不必要なほど大きく部屋みたいなので、ちょうど中古のキャビネットを買ってあって、とりあえずキャビネットの上に食器洗い終えたのとか、ナイフフォークやらいろいろキッチンで使うもの全部置いて、もうバスルームがキッチンみたいになった。
それでも調理はほとんど不可能だから、近所でたまに行く人気のフィッシュアンドチップスのレストランに初めて夜行った。(この店はお昼過ぎ位から行列ができていて私たちも夕方行くことがある。この日もう7時に閉店してた。夫に聞いたら、どうやら労働者階級の夕飯は夕方の早めの時間位らしい)
この店は海の近くにあるので、またこの季節のイギリスは日が長いので、海とお城が同時に見渡せる丘に散歩した。
タイルの並びでも一悶着
翌日マウリッツォ親子は例の白いタイルトリムを使って壁のタイルを貼った。
まずマウリッツォ父はレストランとかで一般的な、メトロ=サブウェイの並べ方に慣れているらしくて、違う並び(写真)でお願いしたら、少々嫌な顔された。
で実際にこの並びでやってもらったら、なんだか線が真っ直ぐじゃなく見えた。
特にその場では何も言わなかったんだけど、マウリッツォ父って意外にも敏感な人らしく、私が微妙な顔してたのがわかったみたい。
「タイルはきれいだよね?」
「きれいだよね。大丈夫だよね?」
何度も気にして聞く。
見かけより繊細な人なんだな。
私はその場で文句を言うべきかどうか迷って、というのも、私が先週大工さんの仕事で、やはり同じようなことに気づいて文句言う前に夫に相談したら、
「僕は全然気にならない。君の考えすぎだ」
って言われ「そんなものか」と思った。
でその場でマウリッツォには言わず私が夫に
「ねぇねぇ何か歪んでるようだよ行ってみてもらえる」
って言って夫が見て
「確かにちょっと歪んでるね」って言った。
それでマウリッツォに
「ちょっと歪んでませんか」
って言うとマウリッツォ父は不機嫌になる。
「このタイルは大きさが均等じゃなくて、一個一個2〜3ミリタイルの大きさが違うから歪んで見えるんだ」
また小さい声で夫に
「でもマウリッツォ父ならすごく技術があるから。まっすぐに見えるよう少しは直せるんじゃない?まだ接着剤乾いてないし」
って言ったんだけど、夫は言う。
「タイルのせいでマウリツィオができないと言うからには、きっともう無理なんだよ」
でマウリッツォ父に
「そうなんですね」って言った時、彼は夫に変なジェスチャーした。
「君のワイフは、」とかなんか言っていた。
「私の悪口って言ったの?」とあとで夫に聞いたら、
「なんか君のこと神経質だって言ってたっぽいよ」
マウリッツォの仕事中、お金おろす
オンラインでもテレフォンバンキングでもなく、昔ながら銀行行ってお金おろしに行った。
とても天気が良くて、私と夫どちらか在宅する必要あるし、今回代金を折半することにしたので、別々にそれぞれ1人で行ったんだけど、
「銀行に行くわ」
と言ってものすごく天気がいいので、ちょっといつもと違う道通ったり、海が見える道を歩いて帰ってきた。
タイル張りが終わってお金払う時、なんとマウリッツォは見積り金額を覚えてなかった。
聞いてたのより高い金額を突然言われたので、過去マウリッツォ父から来たショートメールの見積り金額を見せて納得してもらい
「領収書を欲しいです」
って言った。
けど、この人たちっていうかイギリスの家の仕事する人たちって何かそういう書類関係を出すとか言って絶対にくれない。
家の配線全部やり直しの場合、国が法律で決めた証明書みたいなのがあって、家の価値がそれがあると上がるらしい。で必ずもらうものらしいんだけど、半年たっても送ってこないので、この半年間の間にもう4回か5回ぐらい電話したりショートメールを送ったりし、その度「もう送った」だの「今休暇中だから」とか言って全然送ってこなかった。
領収書とかも、1人を除いて、誰も後で送ると言って送ってきた人はいないので、
「何でもいいけど今ください」
って言ったらやれやれとか言う感じでため息ついてなんだか殴り書きを破った紙に書いてくれた。
でもそれも、後で見たら領収書ではなく請求書(invoice)と書かれていて、私たちが払った証拠の領収書ではなかった。
掃除がめちゃめちゃ大変だった
マウリッツォ親子が帰って後、夫がどうしてもコテージパイを作るって言う。
前回作った時「自分1人で作りたい」って言ってたから、私は
「じゃ任せるわ」
と言った。でも
「手伝って」
と言うので手伝うと、私に全部やらせたまま自分は何もしない。
なんだかむかつくので
「じゃあちょっと任せるから」
と言って、タイルの目地材(grout)だらけの床を掃除し始めたら、これが予想以上に大変だった。
まずとんでもなく汚ないバケツとモップから、きれいに掃除しないといけない。
手袋使ったんだけど、床掃除する以前に掃除道具であっという間に手袋中ぐちゃぐちゃの水、汚い水がはいっちゃって、手袋さえ使えなくなった。
おまけに庭で、マウリッツォ父ほど仕事熱心ではなかった息子のタバコの吸い殻が3つあったので拾って捨てたんだけど、その後庭に行くたびに、2つ→3つ→3つとあちこちにあって、もう
「なんで客の私が、タイル職人のタバコの吸い殻を掃除しなきゃないの?」と不快になった。
イギリスで家の修繕は気が抜けない
そんなこんなでたった2日なのに、
タイル注文はギリギリ、
トリムのことで2日間何度もやりとり、
さらにキッチンは使えなくて、まるで別の家に行ったみたいに、バスルームで包丁使って朝ごはんになったり、
銀行行ったり、
掃除がめちゃめちゃ大変だったり
で、まるで1ヵ月以上前から始めて終わったような気がして、
「でも実際には一昨日から昨日たった2日の出来事なんだ」
と思って不思議な気になった。
コメント
はじめまして、コメント失礼します。
私もイギリスの田舎町生活4年目で家を購入する事になり色々リサーチしてるところです。南海さんのページ色々勉強にさせていただいてます!
タイルも色々、大変ですね…お疲れ様でした。アフターの写真とても素敵です