猫の額の庭でガーデニングしていると隣の女性が車で帰宅。
彼女も猫の額のガーデニング大好きだからか満面の笑顔で挨拶された。
数日後娘を訪ねてきた彼女のお母さんが、庭にいた私に話しかける。
「私の娘もガーデニングが本当に大好きなのよー」
と言って、まるで自分は違うと言う話しぶりだけど、私に話しかける事柄からは、やっぱりこの人もガーデニングが好きみたい。
緑の指
夫は私が、緑の指を持ってると言う。
(Have a green thumb / fingerは ”花や野菜など植物を育てるのが上手”の意味)
いやいや、私は何にも知らないし、ただガーデニングのクラブで買ったりもらったりした苗を同じくもらった土に植えているだけ。
でも、こんなにガーデニングが楽しいと思わなかった。
6月後半日本一時帰国前はイギリスはずっと寒く、家の窓際で2ヶ月水をやり続けたトマトは、ついに10センチにも満たない高さのまま萎びていた。
日本帰国前少し暖かくなったので、諦め半分庭に移し替えておいて2週間後日本から帰ったら、なんと50センチ位になっていた。
とてもあのヨレヨレのトマトの苗が、こんなになるとは信じられなかった。
今は80センチくらい、枝は太く木のようにさらに成長して、たわわにたくさんのトマトがなっている。ただまだ全然緑で、気候などで最後まで赤にならないこともあるらしいが、、、トマトこんなに早く成長するんだ。
イギリスのガーデニング
イギリスはガーデニングが盛んと言う以上に、「ガーデニング命」くらいの勢い。
なぜそう思うかと言うと、春の声を聞いた途端もう花屋だけじゃなくてスーパーマーケット、コンビニエンスストア、金物屋、ディスカウントショップ、家具屋、生活用品売る店ならほとんどの店にガーデニング関連製品が置かれる。
ただ置かれるっていうより、店頭がもう、ガーデニング用品や雑貨だらけになる。
花、苗木、プランター、肥料、庭用家具、庭用ライトなどアウトドア用品とか、柵メンテナンス用のニスなど。
だから何か欲しいもの(雑貨とか)があったとすると、普通の雑貨売り場より、ガーデニングコーナーに行く方が品揃えが充実し、競争があるから価格も安いことも多い。
イングリッシュガーデンと言うと優雅なイメージでも、住んで初めて優雅って言うより、ささやかな庶民の楽しみのようなものと知る。
たいしてお金がかからないし、それだけじゃない、野菜を育てて節約までできる。
庭にキレイな花を咲かせれば、自宅の不動産価値も上がるかも?。(これは、イギリス人が不動産の買い替えをいつも頭に入れているということに関係している。)と趣味と実益を兼ねる。
「イギリス人はなぜガーデニングが好きなのか」
“Why do British people like gardening?”
とググったところ「庶民階級の小さな贅沢」の趣旨を書いてる人がいた。
多くのイギリス人もこの質問に興味あるとみえて、イギリスの新聞のウェブ版など、複数のサイトでイギリスでのガーデニング人気に関する質問を見出しに掲げていた。
まずは、イギリスの気候がガーデニングに適していて、温暖な気候で雨もよく降るから伝統になったと言う説。
それから運動不足と、何かを育てることでストレスも解消できるということ。
後は私が推測したような、単純に花を楽しむとか、やっぱり自宅の不動産の印象アップになるとか。
私は、日本では賃貸などとにかく庭がない暮らしが長く、イギリスでたまたま見つけたガーデニングのクラブにお世話になり、人生初のガーデニングの喜びを噛み締めている。
近所のコミュニティーセンターで参加してから、そこでもらった野菜類の苗木をして水をやっただけで、いちごだとかレタスとか、ちょっとだけど自分で育てたものを自分の庭から収穫して食べられるのは楽しい。
日本との違いは、天候
こうやって書くと、ガーデニングを好きな理由は日本人と変わらないと思える。それはイギリス人の言い分を読むからであって、日本人からするとイギリスでガーデニングが盛んな理由は明らかで、それは日本と違う天候にある。
イギリスは天気がいいとみんな外に出る。日本では外で過ごすのは春と秋で、夏は暑くて湿気があり蚊が多いからあまりない。イギリスは年がら年中晴れが少ないけど、晴れると湿気がないので外にいるのはいつだって暖かく快適で、戸口に椅子を置いて過ごしている人が多い。
だから晴れれば家の外だし、それがすぐ家の外ってこともあるし、そしたら目先の庭で何かしらして過ごすのも、改善したり、利用したくなるのも自然。
イギリスは一日の中でも、雨と晴れが目まぐるしく変わる天気。だからすぐに虹が出る。雨がほんとに多いので、毎日水やりをしなくても良い。
夏の厳しい気候もないし虫も少ない。水やり、草むしりなどが、日本ほど大変じゃない。夏はイギリスだって雑草が伸びるけど日本のような1週間で雑草が 30センチも伸びるのと違って成長がゆっくりしている。冬はほとんど雑草とりは必要ないと言う感じ。ガーデニングが楽で、誰でも簡単に継続しやすい条件が揃っている。
テレビ番組で見るイギリスのガーデニング
長寿ガーデニング番組Gardeners World (BBC2)、少し前見た時は廃墟となった城の広大な庭の再生を紹介し圧巻だった。
イギリスは花だけじゃなく食用庭も盛んで、貴族の庭であっても野菜や果物、ハーブから薬用植物まで植えられている。
いつも最後に紹介される視聴者の庭のコーナーで、普通の庶民もがんばっている。
プレゼンターは視聴者自身。自分の庭を見せながら、ガーデニングの技術や植物のアイデアを披露する。わが家同様なわずか数平方メートル〜の庭、でもガーデニング愛好者自ら説明するその情熱が熱い。
また日本の生産緑地にあたるアロットメントと言う行政等が貸し出している庭での食用の植物の栽培も盛んだ。
統計で見るイギリスのガーデニング
実際にイギリスのガーデニング人口は、国民の42%、ほぼ2人に1人とものすごい数らしい。美しさを楽しむ花や木だけでなく、成人の3分の1が野菜や果物を育て食べているらしい。
イギリスのガーデニング人口は、若い人からお年寄りまで、満遍なく広く分布している。けれども、55歳以降の子供がいない層にやや他の層より多いと言う。(ちょうど私がそれに当たる)
収入的には平均よりわずか9%だけ経済力がある位で、男女はほぼ拮抗していると考られている。(参考文献を下記に書いた)
ガーデニングで最も人気のある花は、バラ、ユリ、フリージア、チューリップ。
一般の日本人のイメージする夢のような「イングリッシュガーデン」は、極端に限られたお金持ちのお屋敷等の庭で、もちろんそれも立派な庭で美しいけれども、イギリスの圧倒的なガーデニング人気を支えているのは猫の額の庭を愛する末端の庶民だと私には思える。
*郊外や田舎は街中より一般に、大きい庭がある。
参考文献
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