画像引用元: Mr Bean “Cup of Coffee” https://www.youtube.com/watch?v=2k9MpD1gM14
イギリスで好みのタイプは?、という下世話な話になると必ず3位以内に「ユーモアのセンス」という答えが返ってくるんだな。
イギリスでは日本のようにユーモア=「お笑い」のような娯楽というんじゃなく、
ユーモア=国民的な価値では?
日本の「和」=調和を乱さないことが日本のお家芸なように、ユーモア=イギリスのお家芸っていうか!
私はささいなことで落ち込むことが多く、日本の伝統食=豆腐のように壊れやすい心の持ち主。
で、もしよ。
もし私にユーモアの技術があって他人を笑わせられれば、少なくとも笑ったその瞬間には相手も、多分自分も幸せになる。
ユーモアセンスを家庭でも仕事でも活かせば、人間関係が円滑になり、仕事の成功を運んだり、人生の困難を乗り越えやすくなる?
そんな腹黒い計算をもとに、ユーモアのセンスの秘密を盗むぞ!
といろんな本やブログYouTubeなどを見た。
で、その自分のメモを記事にしたら?と思って、
ユーモアセンスの9パターンをまとめてみたわ!
その実例は以下からお借りしました〜。
●イギリスのコメディ番組「ミスター・ビーン」
●サンドウィッチマンと言うお笑いのコンビのYouTube
●イギリスや日本の誰かさんのジョーク
●ユーモラスな韓国のサッカーエッセイ
●ブログ(私は自分が海外在住する大家なので、同じような立場の知人のブログ)
●ユーモアを解説した本
(イギリスのユーモアは「アイロニー」などと呼ばれちょっと独特。だけどそれについてはここでは書ききれないのでユーモア一般の事について述べるよ!)
権威の外にいる人
「エッフェル塔?聞いたことないな」
これは私がある時エッフェル塔を訪れたことを報告した後、イギリス人の親戚(ツレの叔父さん)が言ったセリフ。
コレには、その場の全員が大爆笑。
→誰もが当たり前に肯定している権威を、権威の外にいる人や、未開人のような視点で提示。権威とされている社会の外から見たら、ちっとも偉くもないし権威もないことを暴露するからこそ面白い。
子供に帰った行動をするイギリス紳士
私の知っているイギリス人の中でも社会的地位が高い、いわゆる紳士階級の人が苦笑しながら言っていた。
「妻にはよく、あなたはミスタービーンそっくり、って言われるんだよなあ」
「大人はこう振る舞うべき」という社会秩序、お約束を一種の「権威」とすれば、ビーンも完全に権威の外側にいる人。
勝手気ままにふるまうビーンを見ていると、英国紳士だってその上品な化けの皮を剥がせば、、、と笑える。
誰もが「あるある」「まるで〇〇さん」と感じる、人間のみみっちいエゴな部分を、英国紳士が、度を過ぎた大げさな仕草、ポーズで演じるから面白い。
常識と真逆の反応をしてみよう
新庄とわからないぐらいブサイクにしてください
「美容代は累計3000万円といい、整形手術は『今、6回目かな』と告白。整形を始めたきっかけは『自分の顔に飽きた』から。『新庄とわからないぐらいブサイクにしてください』などと注文したという。」
→この発言は3重の意味で常識と真逆の発言だから笑える。
・美容整形で「ブサイクにしてください」と言っている。
・「新庄とわからないくらい」と言っているので「自分は美形」と自ら認めている
・美容整形は一回でも隠したいタレントが多い中「今6回目かな」とわざわざ聞かれてもいない回数まで答えている。
「自撮りですか?」
サンドウィッチマンのコントで、写真屋に訪れた客に、写真屋は「いらっしゃいませ。お写真の撮影ですか」と通常の反応をする代わりに、
不思議そうに「何かご用ですか」と聞く。
その後さらに、なぜか「自撮りですか?」ときく。
サンドイッチマンにはお店のシリーズが多いけれど、ほとんどで最初から通常と予想外な店員の反応に笑わされる。
「何かご用ですか」
「何かご用ですかって、写真館でしょ?写真取りに来たんだよ!」
「自撮りですか」
「他撮りだよ、なんで写真館に自撮りしに来るんだ」
いきなりバシャバシャ撮り始める写真館店員。
「なんだなんだやめろよ」
「写真撮りたいんじゃないんですか?」
(引用元:サンドウィッチマン コント「写真館」)
→予想される対応と全く違う対応をすれば、笑わせられる。
もちろん私は過剰な設備投資をしています
もちろん私は過剰な設備投資をしています。物件はボロですが、快適なボロちゃんなのが自慢です♪
(引用元:楽待 実践大家コラム 上條直子「過剰な設備投資のススメ」)
「ボロ」を「ボロちゃん」と擬人化して讃えるわ、
習慣を単純化したりズラして再現すれば、笑いを取れる
パリ在住のアイコさんが、フランスのクリスマスの様子を紹介している。
パリのクリスマスと聞けばイメージはおとぎ話の1ページのよう。
でもアイコさんの描写はそのイメージを皮肉たっぷりに裏切る。
「アリガト!ボク、スッゴク、ウレチイヨ!」
さて、アペリティフが終わったらお待ちかねの・・・
プレゼント交換!
ノエルのプレゼントは、通常、
クリスマスツリーの下に置いてあります。
名前の書いてある包みを開けて・・・
白々しいほど 大喜びします!
感情表現が苦手な日本の皆様は、
舞台役者になったつもりでがんばって下さい。
マルセル・マルソーを参考にされると
イメージしやすいかと思われます。
プレゼントをもらった後の行動として:
・プレゼントがセーター、ニット帽、手袋などだった場合、
目の前で着て(つけて)見せましょう。
その際、周りの人々は
「わぁ、いいじゃない!」
「すっごく似合ってるじゃん!」
と、大声で褒めたり、肩をたたいたりしてあげましょう。
・プレゼントが香水、化粧品だった場合、
その場で匂いを嗅いでみせましょう。
目を閉じて、目の前の薔薇の香りを嗅ぐイメージで!
その際、周りの人々も、恍惚とした表情をしてあげましょう。
・プレゼントが我が子(乳飲み子)へのおもちゃだった場合。
我が子を膝の上に座らせ、小さく飛び跳ねさせながら、
「アイコ、アリガト!
ボク、スッゴク、ウレチイヨ!」と、
頭のてっぺんから、まるで腹話術の人のような声を出しましょう。
周りの人は、愛に溢れるまなざしと笑顔で、
そのやりとりをながめましょう。
・プレゼントが小切手だった場合・・・
静かに微笑みを浮かべるだけにしましょう。
周りの人は、見てみなかったふりをしましょう。
(引用元:降っても晴れてもパリ「フランス式ノエルの過ごし方1」)
→あんまり嬉しくないプレゼントをもらった時の対応に苦心する人間の様子は可笑しい。
アイコさんは、プレゼントをもらって嬉しいフリをするクリスマスの集まりを、誇張気味に描写。
まるで文章で引き出されているパントマイムみたい。なぜならパントマイムは誰もが「あるある」と経験がある状況を言葉を省略している分、動作で誇張しそれが笑いを呼ぶ。
「、、、、、、、、」(沈黙)
上のサンドウィッチマンのコントで、写真館の男がお見合い用写真を撮るシーン。
カメラを構えている写真屋の富沢と、カメラを見つめている客の伊達がじっと向き合う。
カメラマンは、なぜかじっとカメラを持ったままなかなかシャッターを切らない。
客は最初のうち辛抱強くカメラを見つめていたが、だんだんカメラマンがいつシャッターを切るのかじりじりし始め、眉はピクピクし落ち着かなくなってくる。
(引用元:サンドウィッチマン コント「写真館」)
→カメラのシャッターを待ってじっとしているシーンが、ただ時間を誇張して長引かせるだけで、このコントの中で爆笑シーンになっている。
「であります」
下の動画で元内閣総理大臣、安倍晋三氏のモノマネを見てみて。
サンドウィッチマン「喫茶店」でのシーン。
「いらっしゃいませ」
「さっきの人ですよね」
「違います。私は内閣総理大臣、安倍晋三であります」
「モノマネパブなんですか」
「えー私は毎晩シャワーを浴び続けるんであります」
「えこちらのコーヒーですね。え一生懸命入れたコーヒーですね、飲んでいただいて、ですね、我が国のコーヒー、別名安倍のミクスジュース、稲葉防衛大臣、夕張メロンをミックスしてですね、できるんですね。アベノミクスジュース」
「コーヒーだしね。混ぜちゃダメでしょ」
「安倍ヒロシです。下町の工場で夢を見ちゃダメですか。宇宙の作戦に、、、」「安倍であります」
「戻った!」
「安部寛やるんなら髪とか変えたほうがいいでしょ」
「私は安部晋三であります」
「やっぱり。全部同じ人でしょ」
(引用元:サンドウィッチマン「喫茶店」)
→ただマネるだけ。でも笑えわせられるのがモノマネ。あたり前で忘れていた誰かのつまらない癖を強調したりマネすることで笑いをとる。この例では、偉い人の権威を自分たちと同じレベルに下げるている意味では上の「権威をなし崩し」パターンとも言える。
メインテーマからズレまくった細部を切り取って強調してみよう
「おっさんが」を、鼻にかけたような言い方で
上の例(サンドウィッチマン「喫茶店」)ではただ偉い人のモノマネが可笑しいだけじゃない。
おっさんがテーマの喫茶店という発想も可笑しいし、そのウェイターの鼻にかけたような言い方で「おっさんが」を繰り返すという細部があってこそよりますます爆笑する。
その人は、ポロシャツと同じように白い四駆に寄り添うように立っておりました
以下は、不動産投資家渡辺さんのブログからの引用。
渡辺さんは物件を内見しに来て駅で、不動産会社の社長を探している。
あれ?
駅のロータリーにはある人物が独り、コチラを背にして立っておりました。
目に眩しい白いポロシャツにウエスタンハット。そしてジーンズ。その人は、ポロシャツと同じように白い四駆に寄り添うように立っておりました。
・・・まさかね?
ジーンズにポロシャツにウェスタンハットて。。。
・・・まさかね?(^_^;)
私はその人物がこれから初対面の人に会うビジネスマンとは到底思えず、しばらく辺りを見回しました。が、場所は見渡す限り畑という田舎の駅。待ち人を見落とす事などありえません。
でも、いや、まさか!
こんなカゥボーイが私の待ち人のはずがない!私は少しの緊張を覚えながらも、携帯電話を取り出し、元付け業者さんへダイヤルしました。
とぅるるる~!
とぅるるる~!コールすると、目の前のカゥボーイが弾かれたようにジーパンのポケットに手を伸ばしました。
→不動産投資とほぼ関係ない、服装や動作を書いている。
ん。を上げ気味に
以下は不動産会社社長に物件を内見してもらい、社長に質問する渡辺さんと社長との会話だ。
社長に過去の修繕履歴をお聞きすると・・・
「 存じません 」( ん。を上げ気味に )
ヤケにキッパリと、つれない返答です。
・・・(^_^;)
まぁいいや。そんじゃぁと敷地をぐるりと回ったあとに、アパートの中に入りました。アパートの外階段も錆び付いて酷い状態です。コチラの方も24年間メンテナンスしていないのでしょう。
続いて2階に上がると、3枚の玄関扉が開いているのがわかりました。2階には4部屋の空室があるのに、なぜ3部屋だけ扉が開いているのか? 違和感を感じ、竹中さんに疑問をぶつけると、意外な答えが返ってきました。
「 ああ、売主さんが鍵を3部屋分しか送ってこなかったんですよ 」
平然!( ・`ω・´)
まあ、とにかく見られる部屋だけは見せてもらう事にして、今回は見られない他の部屋の様子を、竹中社長にお聞きしました。
「 たぶん、あまり変わりません 」( ん。を上げ気味に )
・・・たぶん、てなんだよ。この竹中社長の、イイ加減で投げやりな態度に、会って20分も経たずにうんざりしてきました。
(引用元:健美家 不動産投資コラム 渡辺よしゆき「史上最悪の内見〜おんぼろアパートの便器で見たもの」)
→この( ん。を上げ気味に )にという部分は、話の大筋と関係ない。でもこの社長の話し方の細かいところから、笑いが生まれる。
音が似ているだけで全然違う言葉にわざと間違えたり、言い換える
客「若者が同じに見える」 店員(若者が)「1人に見える」
「若者が同じに見える」
「1人に見える」
「1人には見えないでしょ」
「おっさんですから」
「運動会、足がもつれて骨折れる」
「全部折れますから」
「全部は折れないでしょ」
「おっさんですから」
(引用元:サンドウィッチマン コント「喫茶店」)
→いかにもおじさんが言いそうな(紋切り型)「若者が同じに見える」を、
「1人に見える」とずらす。
「足がもつれる」を「全部折れる」にずらす。
「おっさんですから」は、自虐。
客「ヤ・マ!」葬儀屋「川!」
サンドイッチマンには、言葉の意味をわざと間違えて捉えたり、慣用的な言い回しを真に受けておかしいと思えるコントがとても多い。
葬儀屋を訪れた客と葬儀屋のやりとり。
客「うちの親父が入院してんだよ。でこの2、3日がどうやらヤマらしいんだよ」
葬儀屋「お父さんがヤマアラシ、、、」
客「なんでうちの親父がヤマアラシなんだよ、ヤ・マ!」
葬儀屋「川!」
(引用元:サンドウィッチマンコント(葬儀社))
→葬儀屋のとんちんかんな、常識と真逆な反応をするだけで、可笑しい。
客「実はさ、今あれやってんだよ。婚活」 写真屋「トンカツ?」
「実はさ、今あれやってんだよ。婚活」
「トンカツ?」
「トンカツじゃないよ」
(引用元:サンドウィッチマンコント「写真館」)
「お前の名はなんだ」
「Dだ」
「爺か」
「Dだ」
「パーか」
「ヒント出してやる」
「きんこ?」
「きんこじゃないよ、ヒントだよ」
(引用元:サンドウィッチマンコント「刑事富沢」)
→ハードボイルドの富沢で真剣で緊張感あるはずが、可笑しな会話になる。
自虐:自分がどう見られているか、他人がわかっていても言えないことをあえて口にする
「ゲームが終わり、キム・ゾンビと化したキム・ホンビの目撃談が相次いだ。」
今話題の韓国のサッカーエッセイ「女の答えはピッチにある」が、ユーモアセンスにあふれている。
サッカーの猛特訓の末試合に参加を命じられ、試合中緊張で体が動かなくなったキム・ホンビは、試合後にチームのメンバーからその混乱ぶりを嘲笑され、試合でフラフラになった自分を以下のように自嘲する。
「ゲームが終わり、キム・ゾンビと化したキム・ホンビの目撃談が相次いだ。」
(引用元:「女の答えはピッチにある」キム・ホンビ p141 )
→悔しいはずなのに、自虐的な文言を持ち出すことが笑いを誘う。
「すみません。おっさんですから」
またサンドイッチマンのおっさんがテーマの喫茶店の逸話。
安倍晋三を真似るおっさんがテーマの喫茶店で、お客が差し出されたおしぼりで顔を拭くシーンで、
「くっせ」
「おっさんですから。様々なおっさんが使ってますから」
「洗ってないの。ものすごいおっさんの匂いがする」
「すみません。おっさんですから」
(引用元:サンドウィッチマンコント「喫茶店」)
→臭いのがおっさんという自虐を、おっさんテーマの喫茶店の主人が何度も過剰なほど繰り返すのが笑いを誘う。
ささいなことを、神話、歴史的な人や物、法則など壮大な物にたとえる
「暖かいお風呂に浸かりたい」これはもう、基本的人権に近いです。
上記で書いた知人で不動産投資家の上條さんは、ぼろい家でも追い焚き機能付きの給湯器をつけることを方針としている。
追い炊き風呂は入浴も入居も長くなる!?
「温かいお風呂に浸かりたい」
これはもう、基本的人権に近いです笑中にはぬるま湯が好きな方もいるかもしれませんが・・・
(引用元:楽待【実践大家コラム】過剰な設備投資のススメ 2014/10/18)
→「温かいお風呂」というどこまでもささいなことを、「基本的人権」とまで断言するのが笑いを誘う。
「拾ってきた子、タカシ」、、、私にとってはユニコーン同様、神話上の生き物でした
上記に出てきた不動産投資家の渡辺さんは、新たに購入した物件の隣に住んでいたおばあさんから「ぶっ殺すぞ」と散々脅されるが、ひょんなことからおばあさんの家も購入することになった。そしてこの「ぶっ殺すぞ」が口癖のおばあさんの自慢は、息子のタカシだった。
「拾ってきた子、タカシ」、、、私にとってはユニコーン同様、神話上の生き物でしたが、どうやら目の前にその伝説の生き物が現れたようです。
「あの、もしかして、、、タカシさんですか?』
(引用元:健美家 不動産投資コラム 渡辺よしゆき「BBAの転居を阻む壁。極悪ブラザーズ登場登場」)
→話にだけ聞いていたおばあさんの息子が目の前に現れた時「神話の生き物」と壮大なものに喩える。
「富山県の通貨は円?」
ヨークシャー出身のイギリス人の親戚で、隣の隣の県に引っ越すだけなのに
「パスポートの申請しなきゃ」
→ヨークシャーの人は独立心が高いと言われるせいか、壮大な差異にずらして笑いをとっていた。
日本人の知人も、「どこの方ですか?」と聞いて「富山県です」と答えた相手に
「富山県の通貨は円?」
→県が違うだけなのに、通貨の違いに例えて笑いをとっていた。
深刻なことをささいなことに喩えて、深刻さを消してしまう
優等生のボロちゃん2号にもしや何かあったのか?
不動産投資家の上條さんは「トイレが詰まった」という連絡を受ける。
優等生のボロちゃん2号にもしや何かあったのか?
ボロちゃん2号お腹をお壊していました
おじいちゃん職人さんまるで探偵のようです笑
(引用元:楽待 実践大家コラム 上條直子「過剰な設備投資のススメ」)
賃借人にとってトイレが使えないのは困る。でも大家さんにとっても修繕内容によっては何十万という出費になることがあるし、うまく解決しないと退去されその後空室期間が続くと家賃を取りはぐれ、さらに何十万という損失になる。
賃貸住宅のトイレ詰まりは、賃借人だけでなく、大家さんにとっても深刻な事態だ。
→しかし深刻な事態でも「優等生のボロちゃん」「お腹壊した」「おじいちゃんが探偵のよう」など建物を擬人化し愉快に描写している。
「今や五枚肉は限りなく薄くなってペラペラの三枚肉と」なる
韓国のサッカーエッセイ「女の答えはピッチにある」では、選手であるホンビは最大のライバルであるサッカーチーム「FCペニー」と真剣な試合の真っ最中。
以下は「大きく水をあけられてみんなやる気を失い、途中で諦めてもおかしくない」試合のようすだ。
ホンビもチームも、この日のために大変な練習をこなしていた。しかし試合中はもっぱら、勝ったら何枚も食べることになっていた焼き肉の枚数の増減ばかりが取りざたされる。
「今や五枚肉は限りなく薄くなってペラペラの三枚肉となり、全くなしになる一歩手前。一方五連敗のほうは、六連敗、七連敗の影まで漂わせながら私たちの目の前にグッと迫っている。」
(引用元:女の答えはピッチにある:女子サッカーが私に教えてくれたこと p243)
→せっぱつまている試合の勝ち負けを、些細な肉の枚数と等価においている。
早く飛び降りてくれないと、バスに乗り遅れちゃう!
この記事を書く前に「必勝小話のテクニック」と言う本を読んでみた。 この本ではユーモア小噺のテクニックを磨くための練習問題も出されている。
下の2つの小噺は著者がロシアに滞在中に聞いた会話として紹介されている。抜群に面白いのでここでぜひ紹介したい。
高層ビルの屋上に登って登った男が今にも飛び降りそうだと言うので、黒山の人だかりとなっている。しかし男はなかなか飛び降りない。野次馬の1人がぼやいた。
「あー困ったわ、あたし。早く飛び降りてくれないと、バスに乗り遅れちゃう!」
(引用元:必笑小咄のテクニック (集英社新書) p110)
万が一、踏み外した場合は、右側を見るのを忘れないように。
もう一つ、著者がロシアに滞在中に実際に観光地で聞いた会話を紹介している。
「そこの崖を気をつけてくださいね。足を踏み外さないように。でも万が一、踏み外した場合は、右側を見るのを忘れないように。見事な絶景をご覧になれるはずですから」
(引用元:必笑小咄のテクニック (集英社新書) p114)
→人の生死に関わることなど深刻なことも、「バスに間に合う」とか、「絶景を見れる」とか、それと比較してあまりにもささいなことと等価に置いた時、笑いが生まれる。
ばかばかしいほど大げさに言えば、ネガティブさも消える
『私は存在しない存在であり、存在する無存在』
上でも取り上げている韓国のサッカーエッセイ「女の答えはピッチにある」で、サッカー愛に燃えるホンビはサッカーチームに入団して毎日練習に励む。
でも試合にはほとんど出してもらえないので試合に出た時は緊張しすぎて呼吸が苦しくなり、足もフリーズし動けない。
「最後のほうになるともう、イエリョン先輩がどこにいるのか、自分はどこにいるのか、あーもう全部わかんねーと言う状況になり『私は存在しない存在であり、存在する無存在』(キム・ヒョンの評論集)『言葉たちの風景』の境地になっていた。」
(引用元:女の答えはピッチにある:女子サッカーが私に教えてくれたこと キム・ホンビ p140 )
→緊張してうまくいかないことは誰にでもあるけれど、わざわざ存在論的な文言を唐突に持ち出すことが笑いを誘う。
らんらららららららん♪ パパン パパン
雲を飛び越えどこまでも行こう
そこに何かが待っているからーんらららららら ららららん
らんらららららららん♪ パパン パパン (手拍子)
少しだけワクワク、ウキウキするとき、
この歌が頭の中に流れてくることがあります。
例えば・・・・・・
うちのフランス人が、1泊2日で出張するとき。
例えば・・・・・
うちのフランス人が、2泊3日で出張するとき。
(この場合は 手拍子 パパン パパン まで)
12月は有休消化でほとんど会社に行かなくていいんだ!!」
・・・・・・え?????
・・・・・・仕事納めの・・気球、乗り納め?
在宅勤務の私、これから1ヶ月間、ほぼ24時か・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パパン パパン ←気を失ったのでほっぺた叩かれた音
(引用元:降っても晴れてもパリ「気球、乗り納め」)
→夫が出張に行く→解放される→気球の歌(手拍子)
夫が出張に行って、夫の世話から解放される事の開放感が気球に乗る比喩になり、ハミングや手拍子で、さらに誇張されている。
番外編:シェイクスピアお得意のユーモアパターン
最後に、イギリスといえばシェイクスピア。
シェイクスピアといえば日本では「ロミオとジュリエット」のような悲劇が有名だけど、イギリスにちょっと滞在すれば夏、ふつうの公園ですら、シェイクスピアの喜劇が劇団によって演じられているシーンはお目にかかるわ!
つまりシェイクスピアは今でも、イギリス人のユーモアの源泉なのかも?
で「ロミオとジュリエット」。
ジュリエットとロミオが仮死状態になり誰もが死んだと勘違いするように、シェイクスピアの物語は「勘違い」が物語の動力になっていることが多い。
それが喜劇だと例えば「真夏の夜の夢」「十二夜」などで登場人物がそっくりの双子だったり、誰かになりすましたりして、それぞれの勘違いをもとにドタバタな物語が展開して、観客は大爆笑する。
群像劇なので、舞台に登場する人物が変わるたび、それぞれ別の勘違いで彼らが真剣に驚いたり悲しんだりする、ギャップの大きさに驚きと笑いが生じるのね。
シェイクスピアでも、役割逆転や視点の移動からユーモアは生まれるんだね。
まとめ:人を笑わせるためには
、、、というふうに、目の前の「当たり前」に思ってることに対し、派手にそれを裏切られるとき、ユーモアが生まれるのね!
まとめると、こんな感じ。
●ふだん無意識に縛られている権威や常識の外にいる人の立場で物事を見る
●ふだん無意識に習慣になっていることを単純化したり、タイミングなどをずらしたり、役割逆転したり、おおげさに再現する(自虐含む)
●ささいなことや違いを、過剰に深刻、大きいことや違いとして言う
●逆に深刻なことを、バカバカしく軽くささいなことと等価に置いてみる
あなたも、ここでまとめたユーモアのパターンを使って笑いをとって人生を笑いで満たそう!
参考文献
書籍
●書籍:女の答えはピッチにある キム・ホンビ著 2020年8月10日 白水社
女の答えはピッチにある:女子サッカーが私に教えてくれたこと
●書籍:必勝小咄のテクニック 米原万里 著 2005年12月21日 集英社新書
ウェブサイト
https://hochi.news/articles/20200903-OHT1T50278.html
●ブログ:降っても晴れてもパリ
「フランス式ノエルの過ごし方1」
「気球、乗り納め」
「史上最悪の内見〜おんぼろアパートの便器で見たもの」
「BBAの転居を阻む壁。極悪ブラザーズ登場登場」
●「シェイクスピアの全喜劇。タイトル一覧から特徴まで紹介」
以上全て(最終閲覧日:2021年9月23日)
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