この記事では日本とは全く違う、不動産売買を一任する法律家、「弁護士=Solicitor」について、説明していきます♪
なぜなら、イギリスでは不動産の売買を扱うのは、弁護士だから!
(英語で「弁護士」という訳語は、かなりたくさんあるが、家の売買に関わる弁護士はイギリスでは「Solicitor」と呼ばれる。)
コロナ禍のロックダウンで、弁護士事務所も閉まっていたが、、、
ロックダウンが一部解除されてからしばらく電話しても「感染防止のため、出社しておりません」と言われ続けていたが、今日初めて担当弁護士が電話に出て「今日から私も出社することになりました。基本の調査内容を説明したいので来てください」と言われた。私はコロナのため、対面での説明はないと思っていたのだが、メールで「このような調査は基本料金に含まれますか」と聞いたら上記のメールが来て、近所なので今日行くことになった。
弁護士事務所に行ったところ、誰もマスクをしていなかった。イギリスでは明日からマスクなどで口と鼻を覆うことが義務化されて、来店や公共交通機関の利用でしないと13000円もの罰金が課されることになった。なのになぜかマスクの義務化は客だけで、スタッフはしなくていいことになっている。イギリスではまだマスクにちょっと信じがたいほど抵抗を感じる人が多いようで、
ニュースで店員の人が
「客がマスクをしないと入店できないと、客数が減るのが心配なので強制なんてどうなの?」
とか言っている。
弁護士がダメだと、家は購入できないことも?
「弁護士は不動産会社からの紹介でない方がいい。不動産会社はその弁護士の腕よりも、不動産会社に気前よく紹介料を払ってくれる弁護士を選ぶだろうから。」
ネットで調べたらどのサイトにもこのように書かれていた。これは日本でもたぶん同じ(日本の場合司法書士)で、忖度のない仕事をしてもらうために、不動産会社とは無関係な弁護士を自ら見つけてお願いするのがもっともだと思う。それが買い主にとって不利な情報だったとしても、弁護士にとって一回限りの買い主より、普段から仕事をもらっている不動産会社の利益を脅かすような情報ならば、積極的に言わなかったり、少なくとも目くじら立てる事は無いかもしれない。
逆に言えば、弁護士が法的な瑕疵を指摘しないまま購入に進むと、どこかの時点で瑕疵が判明して価格交渉がこじれて家が買えないこともあるかもしれない。オンライン上では、「弁護士から待てど暮らせど進捗報告がなく、売買をあきらめる羽目になった」という趣旨のレビューも複数見られるほど、不動産売買では弁護士がキーパーソンみたいだ。
地元の弁護士か、オンライン弁護士か
ところがインターネットでざっくり調べた弁護士の選び方は、どこを見ても「最近は、オンラインでやり取りするだけのオンライン弁護士が人気で安い」と書かれていた。で、選び方自体は全然書いていないのだ。
レビューを調べたところ、「オンラインなら、売買が中断したら弁護士料金も無料」だとか、なんだか不自然にオンラインを勧めている印象だ。
あれ?よくよく見るとどのサイトにもオンライン弁護士のリンクが貼ってある!
いや待てよ私が物件を見てるときには物件について質問に答えた人から
「この辺の特殊な事情で…」と言う説明がとても多かったし日本だって不動産に関する法律遵守の度合いや、賃貸の例で礼金敷金の商習慣だって、地方によって全然違うと聞くんだよね、
オンラインだと一体どこで電話を取っているのか分からないが「選び方」ウェブサイトには「地域密着の弁護士でなくても、全く問題ありません」と書いてあるではないか!奇妙に高いスコアのレビューも多い。
これはアフィリエイトではないか?
ネット記事も、アフィリエイトかどうかチェックしないと信用できないー
と思って夫と話し合って結局「何かあったら立ち寄れる近場の弁護士が良い」となって、唯一投資家の人が1ページさらっと書いていたブログを参考に、
●弁護士が所属する伝統ある団体Law Societyに登録しているところでGoogleのレビューが良いところから選ぶことにした。さらに
●弁護士の仕事の中でも不動産売買を多く扱っていること
●何かあったら立ち寄れる近場なこと
という3点を満たす事務所4〜5社を選んだ。もちろんGoogleのレビューもただ「良い」「素晴らしい」などでなく具体的に書いてあって、信憑性があると感じたものだけ重視した。各弁護士事務所に連絡をし、見積もりも取って、質問への誠意ある回答や、回答にかかった時間などで1社に絞り込んだ。
その会社は複数の事務所を持つ大手だったが、近所にある事務所の口コミ(Googleレビュー)には「我が家は代々、不動産売買から、遺言作成、相続とこちらにお願いしていますので、弁護士さんは家族みたいです」と書かれていた。
日本の司法書士の仕事より、責任も範囲も広い
不動産を買うとき、日本との1番大きな違いはお金のやりとりで、物件購入代金はすべて弁護士にまず支払って、弁護士が売主に送金することになっている。さらに物件の環境や、物件の境界線などを法律的な視点で調査してくれる。例えば、
●近隣に高層建築、高速道路などの大規模開発がないか、
●物件の境界線が法務局のと実際の境界と違いがないか、
●配管が隣人の家の下を通っていないかなど、
法的に登録された内容と実際の照合のため、家屋調査士と一緒に働くこともあるそうだ。
弁護士料金に含まれるのは、
登記料や不動産所得税(イギリスでは購入時に払うようで、税率は複雑なのでここでは書けないけれど、感覚的には日本の不動産所得税の2倍以上、ただし日本で毎年払わないといけない「固定資産税」と言われるものは、私が知る限りでは存在しない)。
一見すると高いが、弁護士の「調査費用」は日本で司法書士に払うのと大体同等な金額で、仕事の責任に比べると安いと感じた。
不動産売買で日本の司法書士と英国の「Solicitor」はその役割は、「登記をする」という点で共通している。
けれど、英国の弁護士は法的な権利の調査をして契約書を作成する。買主、不動産会社、と法律の専門家ではない人がこのようなことをしなければならないのが、日本だと思えば当たらずとも遠からずだろう。
弁護士のメールサーバーを狙ったハッキング
物件購入代金はすべて弁護士にまず支払うのは、不正送金を防ぐためらしいが、逆に弁護士を狙ったハッキングが増えているという。手口として弁護士のメールサーバー?に侵入して、入金のタイミングが近くなった時点で入金のやりとりをする顧客に偽のメールを送って不正な入金口座に入金させると言う。つまりオレオレ詐欺みたいになりすまして騙す手口だ。顧客は正しいメールアドレスなのでまさか別人と思わず入金し、銀行もそれを防げなかった場合賠償などはしなかったと言う事例を読んだ。
うーん。不正を防ぐための仕組みのはずか、弁護士のセキュリティーが隙になってこういう場合の責任の所在も曖昧では、良いのか悪いのか?と思った。
とにかく入金口座の確認は、相手が当の弁護士なのかどうか、ダブルチェックしないといけない。
結論
弁護士は訛りもほとんどなく、説明は私にもよくわかった。地元の弁護士なので周辺の家や道路の歴史を知っていて「あなたの買う家のあたりは水害の心配はない」とか、その他の点についても周辺の家を扱った経験から即断で「ご心配のようなケースは、あの地域では考えられませんし、仮にそのような問題が明らかになったとしても基本料金に含まれない調査は、例外的な事象が明らかになった段階で考えればよく、今は基本料金だけ考えていただければ結構です」と言われた。
結局、弁護士の仕事がどんなものかもネットで事前に調べてあっても、基本料金に何が含まれるかまでは分からず確認して安心した。そして、
オンラインではなく、地元の弁護士にして正解だった。
コメント