イギリスの白夜

イギリス社会
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イギリスは高緯度のせいで春から夏にかけ、日の暮れるのが遅く、夏は10時頃まで信じられないほど明るい。

ツレはこの現象を「Light Night」”光の夜”と呼んでいる。

正確な白夜ではない”光の夜”には、10時頃からゆっくりと闇が降りて来てすっかり暗くなってからわずか3〜4時間後にはもう朝の光に空が白み始める。

 

 

2年前の春、イギリスで最初のロックダウンがあった。

ロックダウンとなってからは公共交通機関が使用できなくなり、帰国便の予約を取り直してもそのたび数週間後にキャンセルされ帰れなかった。

運動と生活必需品購入目的以外の外出が禁止され、どこにも行けなくなった。

でもその時まわりはイギリス人かそうでない場合居住ビザで住んでいる人ばかりで、私は自分だけの不安を抱えていた。

当時ツレは春の帰省で、私もツレの姉の家に居候していて、仲の良い彼らは滞在が延びたことは問題でなかった。

でも私はたまたま居候していた義理の姉の家に、いつ帰れるかもわからないのに何ヶ月といるのは気詰まりで、180日の旅行者ビザが切れたら、不法滞在者になってしまう。

その不安を誰にも理解されないまま最後に飛行機のチケットが確保されて帰国できたのは、180日のわずか3日前だったっけ。

 

 

 

 

なんだか時間が止まったようなあのロックダウンの数ヶ月があんなに不自由であんなに不安だったのにまるで夢の中のように思い出されるのは、毎日が体験したことがない、初めての連続だったからかなのか。

人っ子1人いない住宅地や町の通りが夜10時近くだったのに明るく光輝き、鳥の声だけが響いていた、その不思議さからなのか。

それとも感染症による戒厳体制という異常事態の中、毎週木曜日、みんなで医療関係者などキーワーカーと呼ばれる見えない人に向かって拍手をしていた。

不思議な気分の高揚感があったからなのか。

 

↓拍手をした時撮った動画

Instagram

 

 

 

 

 

たまたま義理の姉の家に新しい家族が加わる予定と聞いたこともあり、近くの宿泊施設に短期滞在後、古い下町の通りにあった小さなフラット(建物の特定の階だけ使用した住宅)へ引っ越ししたのは夏も目前という頃だった。

イギリスは日本より朝が早く、パブに繰り出すでもない限り夜も早い。

ロックダウンだからパブは開いているはずもなく、いくら明るい”光の夜”でも通りには人はほとんどおらずそのせいか空気も澄んで静まりかえった通りに、ギターの音が聞こえたので裏口から外を見た。

アコースティックギターの人と、ベースの人と、パーカッション兼キーボードの3人でセッションをする軽やかなギターとベースの透明感ある調べが響いている。

それを、男性と女性がくつろいだ様子で椅子を持ち出して鑑賞していた。

私も音楽を聞きに外に出ようとしたけど、もうその時には男性と女性がすぐそばの家に入っていき、他のギターの人たちも4、5軒隣の家にそれぞれ入って戻っていった。

 

私はこうして、ロックダウンで帰国できないままイギリスに半年いた。

その間に「イギリスに家を買う」とずっと思っていたことを実現しようと決心した。

コロナで人生が変わった人は世界中にいるだろうけど、私はコロナでイギリスに家を買い、住む国が変わった。

 

(写真のほとんどはロックダウンでの「光の夜」の時に撮影)

 

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ロックダウンで公共交通機関を使えなくなり誰もいなくなった駅。

 

 

 

コロナ禍でも働く医療従事者を励ます目的で教育機関が主動して子供が描いた虹の絵がどの窓にも貼ってあった。

 

 

ロックダウンの最初の3ヶ月住んでいつ追い出されるか不安だった、短期滞在者用の家。

関連記事:ロックダウンの最中に引っ越し

 

 

 

3ヶ月後、普通の賃貸契約を結んでに引っ越した新たなアパートメント。

 

 

「運動のため」の外出は許された。近所の海沿い、住宅街、墓地や公園などをひたすら歩きまくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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