バナナがゴミ箱へと飛んで行った
先日夫に「妻の取説」をメールして以来、自分をもっと大切にしよう、と思って、ロックダウンで楽しめそうなこととして、キャロットケーキを焼くことにした。
なんで「自分を大切にすること」=「ケーキを焼くこと」になるかと言うと(自分でもよくわからないけど)夫の姉が焼いてくれたキャロットケーキがとても美味しくて、高校の時仲の良い友達とシュークリームとかアップルパイとかケーキをよく焼いて楽しんでいたことを思い出したからかな。
キャロットケーキはパッとしないお地味な外観がいかにもイギリスらしいが、砕いた人参の甘みが繊細で、甘すぎずあっさりしていて、私はわりあい好きだ。でとにかくケーキを焼く事はもう何十年もしていないかったのに、夫は数年前一時的にスコーンを焼くのに凝っていたこともあり、2人でやればそこまで難しいはずないのではとうっかり勘違いをした。
インチにフィート、オンスにポンド
まず、夫の姉の手書きのレシピだったが、「6ozのキャロット」と書いてある。これ何グラム?と聞くと「わからない」と言うので、スマホで調べる。イギリスってなんでもイギリスの単位なんだな。だって市場や肉屋さんに行くと肉の単位が「ポンド」で売っていて、最近まではっ?つう感じで肉屋で買ったことがなかったくらいだし(調べたら1ポンド=約450g)、1マイル=1.6kmくらいと、これだけでも面倒なのに、長さの単位もインチ=約3cm、フィート=約30cm。で重さは、調べたらオンス=約30gらしい。
で、このキャロットはどう砕くのか?と夫に聞くと、日本の大根おろし器にちょっと似た、チーズおろし器ならいいだろうと(かなり適当)言う。自分でやって見たけど、とてもじゃないけど小さい人参1本下ろすのに1時間かかりそう。で諦めて夫にバトンならぬ人参を渡した。
レシピには「バナナ3本」とも書いてあり、だから私が事前にバナナを買ってきたのに、夫が朝食シリアルにバナナ2本を使ってしまったので午後にはもう1本しかなかった。で私がしかたなくその1本の皮をむいていたところ、青い外観に騙されて固いと思ったバナナは結構熟していたらしい。むいたと思ったら中ほどでぽきっと折れて、たまたまゴミ箱のそばだったのでまっしぐらにバナナはゴミ箱に入ってしまった。
オリーブオイルのひと瓶のほとんどを鍋にぶちまける
小麦粉と砂糖と卵を入れて混ぜたケーキのもとを、ボウルがないので鍋でこねた。レシピには「8 ozのコーンオイル」と書いてあって(上の単位で計算してみて、ほぼ瓶1本分に近い)えっそんなに?!とたまげたが、コーンオイルがないので、この国によくあるスプレー式のサンフラワーオイルで代用することに。ところがスプレーを何プッシュしても出る量がたかが知れていて押し続けていたら、指が痛いではないか。あきらめ、代わりにオリーブオイルのひと瓶のほとんどを、鍋にぶちまける。
これまでオーブン料理ではオーブンを今まで適当に使ってやり過ごしていたのだが、やっぱりケーキなのに適当と言うわけにはいかず夫が自分の姉にオーブンのスイッチの写真を送って確認したところ、今までまるっきりを使い方を知らないまま使っていたことが判明。
あわててたくさんあるオーブンのマークの意味を今さらながら初めてネットで確認するも、ファン(風) がオーブン(焼くこと) と一緒と書いてあるなど意味が不明な箇所多し。あきらめて夫の姉は毎日のようにオーブンでイギリスの伝統的な料理をいやパイやスコーンなどを焼いている人なのでまず彼女の言うことに間違いは無いだろうと彼女の言う通りに設定した。
焦げて真っ黒いかけらになったケーキが爆発
にもかかわらず既にオーブンにケーキを入れた途端に焦げ臭い匂いがしてきた。で私が「何か焦げてるみたいだけど」と言ったら夫が姉の言う通りにしたよと言うので「だったら間違いないよね」と言ったけど、夫も何かおかしいと気づいたらしくオーブンの扉を開けたら、ケーキが大爆発していて、ケーキのべとべとしたもとや、真っ黒いかけらになったものが、そこらじゅう張り付いていている。
そういえば混ぜたケーキのもとをケーキの型にいっぱいにしたけど、、、ベーキングパウダーって膨らむんだよね。いや、夫がベーキングパウダーもほとんど1本全部使った時にも、こんなに入れるのか?と思ったのだ。ともかく膨らんで爆発したケーキのもとが型の入れ物を飛び出て、オーブン表面に張り付いて焦げついた。しかたない、表面以外ベトベトのままのケーキのもとを掬って出し、半分の量にしましたよ。
でもオーブンはもうすごく熱くなって掃除どころじゃなかったし、焦げた匂いがすごかった。窓を開け、2人でしばらく外に出かけて散歩1時間ほどして帰った。夫はオーブンを掃除してから、もう一回ケーキを焼くそうだ。まぁどうなることやらわからないがお任せしてみたところまた30分ぐらいしてすごい焦げ臭い匂いがする。そこでまたもや「やっぱりおかしいんじゃない?」と言ってオーブンの扉を開けた。
ケーキの表面が真っ黒だったが、、、
案の定、ケーキの表面が真っ黒でススのようになっている。でも夫がこれでいいと主張するので、そのままほっといてレシピ通り1時間後にケーキを取り出すと、食べられるのやらどうやら、さっぱりわからないがとにかく私が表面の焦げを全部取って残ったものをしばらく置いてから食べてみると、表面はかなりカリカリ、中もナイフなしに食べれないほど固かったが、クリームをたっぷりかけて食べたら味はとてもおいしかったのであった。
夫が姉に電話して結果報告したところ、オーブンによって実際の温度設定より高めになったり低めになったり差が出るので、うちのオーブンでは設定温度が高すぎて焦げたのではないか、とのこと。それにしても、ケーキってほとんど小麦粉と、砂糖、油だけで、できてるんだな。私は高脂血症なので医者から、炭水化物、砂糖、脂肪は極力控えるように言われていて、ケーキっとまさにドクターストップがかかっている成分そのものだ(汗)。
でも市販のケーキも、夫が好きでついつい一緒に食べてしまうビスケットだって、成分はほとんど同じだろう。やむをえずとはいえ使ったオリーブオイルなら、市販のケーキやビスケットのマーガリンより健康的だから、今後も自宅で、オリーブオイル使ってお手製のお菓子を焼こう!。